豪ドル/円相場は、97円台前半まで値位置を切り上げる展開に。対米ドルでは豪ドルの上値が重い展開が続いているが、対円市場では新高値を更新している。豪金融政策に関しては追加緩和懸念も強くなっているが、それ以上にリスクオンの地合が資源国・高金利通貨に対してポジティブに機能している。また、円安圧力が継続していることも、豪ドル/円相場に対してはポジティブ。
2月5日にオーストラリア準備銀行(豪中央銀行)理事会が開催されたが、政策金利は3.0%で据え置きとなった。マーケットの一部では追加利下げを予測する向きもあったが、特に政策変更は行われていない。ただ、「現時点でのインフレ見通しは追加緩和余地を残す」、向こう1年間の成長率は「トレンドを若干下回る」可能性が高いと述べるなど、追加緩和の可能性も強く示唆されている。改めて豪ドル高にも懸念が表明されており、早ければ3月にも追加利下げが実施される可能性が高い。このため、米豪の金融政策環境の違いから、対米ドルでは豪ドルの上値が重い展開が続く可能性が高い。ただ対円市場では、それよりもリスク投資環境の改善が素直に好感されており、豪ドルが買われ易い地合に変化はないだろう。日豪の金融政策環境を比較すれば、依然として日本の緩和圧力が優勢となっていることが重要である。
一方の円サイドでは、白川日銀総裁が副総裁の任期となる3月19日に辞職する意向を示した。正副総裁の就任時期を一致させた方が良いとの判断が働いた模様であり、政府からの圧力は否定している。本来の任期は4月8日であり、総裁交代の時期が2週間程度前倒しされることになる。安倍首相は、今月下旬の方米後に人選を行う意向を示しており、緩和圧力の強化時期が前倒しされるとの期待も、円売り圧力に。14日の日銀金融政策決定会合での追加緩和は見送られる見通しだが、円売り圧力に歯止めを掛けることが難しい状況が続いている。
今後1週間の予想レンジは、95.50~99.50円。